ATOK用の辞書を買ってみた(記者ハンドブック・NHK 漢字表記辞書2015)

「表記の揺れ」をなくし美しい文章を目指すために、

  • 共同通信社 記者ハンドブック辞書 第14版 for ATOK
  • NHK 漢字表記辞書2015 for ATOK

を購入したので、使用感などをご紹介します。どちらもPC用です。

これらは各社が取り決めている文章の書き方をまとめた辞書です。
※意味は記載されていません。

適切な送り仮名や同音異字の使い分けなど、揺れのない文章を書くための指標になります。


ATOK用の辞書を買ってみた

結論から申し上げますと、どちらも大変満足しており、おすすめです。

優先順位は、

  1. 共同通信社 記者ハンドブック辞書 第14版 for ATOK
  2. NHK 漢字表記辞書2015 for ATOK

で、記者ハンドブックが断トツです。

理由はかなり個人的で、NHK版は平仮名優先が多すぎるためです。好みの問題です。

よってNHK 漢字表記辞書はなくてもいいが、足りない部分を補える場合がまれにあるので、所持していれば安心という感じです。そういったところの具体例は後ほど紹介します。

ライターなどの仕事を受注する際、特定の用字用語集に準拠した表記にするよう指示されることもあるそうです。用字用語集は各社で異なり、新聞社などがそれぞれ発行しています。

私は、それらに基づいて作成されたATOK用の拡張機能を2種購入したということです。「基づいて作成された」ということは、全てが網羅されているわけではないかもしれませんので、書籍版の有用性もあると思います。

表記の揺れをなくしたい

日本語は難解

例えば「つく・つける」という言葉だけでも、どれを使用すればいいのか迷うことはありませんか? 身に付ける、身に着ける、決着をつける、帰途に就くなど、たくさん存在しますよね。文章を書きながら調べるのは大変です。

他にも、あう、いく、かたい、かえる、あげる、のせる、とる、つくる……などなど、あぁ~もう許して! って感じです。

しかし今回購入した商品が、こういった悩みを解決してくれました。

その前に「記者ハンドブック辞書 第14版」とは、

漢字と平仮名どちらを使うのか、送り仮名はどう付けるのか、同音異義語の使い分けは?・・・。
用例が豊富な用字用語集と読みから引ける漢字表。外来語の正しい使い方も明記。
一般企業の企画・広報担当者からWEBライターまで、文章を書くすべての人にお薦めする日本語用字用語集の決定版です。 6年ぶりに大改訂。

という、共同通信社が発行する汗と涙の結晶です。

一般的には書籍版の方がが普及しているようです。

NHKの方は、

などが販売されています。

  • 記者ハンドブックの方は入手困難(投稿時点では増刷されて一時的に在庫あり)な印象です。増刷されるまでは、転売屋さんから割高で買うしかなさそうです。
  • NHKの方は問題なく購入できそうです。ただ、発行日が書籍版と異なるため一部相違があるようです。

私はそれらの「ATOK版」を購入しました。書籍を基に作成されたATOKの拡張機能という感じです。書籍版もあれば便利なので、記者ハンドブックは購入するかもです。

ATOK版の辞書を購入

ATOK版は入力時にリアルタイムで注意喚起してくれるのが大変便利です。

ただし、「ATOK Passport(月額制)」への加入が必要です。辞書単体では動作しません。
※NHKの方だけなら「ATOK 2013 以降が動作する環境」と記載されているので、それをお使いの場合はサブスクは不要なはず。記者ハンの方は「Tech Ver.31以降が動作する環境」とあるのでサブスクが必要なはず。詳しくは公式サイトでご確認ください。

ATOKが別途必要なのは、これらの辞書がATOKを拡張するための商品だからです。

例えるなら、金さえ払えば能力値を上昇してくれるチートのようなものでしょうか。

サブスクが必要だし辞書自体も書籍版より少し高いのですが、書籍で一つ一つ覚えていくよりも、入力時に指摘してくれる方が圧倒的に便利だと思います。

完全に身についたと感じれば解約すればいいですしね。そんな未来があるのかは不明ですが……。

サブスクがネック

上記でも申し上げましたが、ネックなのは「ATOK Passport」という月額プランへ加入する必要があるという点です。コースは二つあり、私はベーシックという安いプランに加入しました。

「ATOK Passport」2種のコース比較

コースは、高機能な「プレミアム」とお手ごろな「ベーシック」の二つ。

※「ATOK Passport」は、30日の無料体験版もあります。
>>ATOK Passport 体験版の使い方

※サブスクリプションも初月無料だった気がしますが、こっちは日数ではなく月単位で、月初がお得だったはず。詳しくは公式サイトでご確認ください。

  プレミアム ベーシック
アプリケーション ATOK for Windows
ATOK for Mac
ATOK for Android
ATOK for Android[Professional]

ATOK for iOS[Professional]

ATOK for Windows
ATOK for Mac
ATOK for Android

クラウド辞典 あり なし
クラウドサービス 対応 一部対応
料金(税抜き) 年間プラン:7,200円/年
月間プラン:600円/月
月間プラン:300円/月

詳しくは、公式サイトでご確認ください。

購入した商品

私は「記者ハンドブック」にできる限り準拠した文章を目指し「NHK 漢字表記辞書」は参考程度に利用しています。

二つ入れると、やや見にくい場合もあるので、記者ハンドブックだけでいいかもしれません。

共同通信社 記者ハンドブック辞書 第14版 for ATOK

販売は「Just MyShop」のみで行われ、店頭での取り扱いはないそうです(投稿時点)。

NHK 漢字表記辞書2015 for ATOK

下記リンクは、Windows版です。Mac版は公式サイトのみのようです(投稿時点)。

使用例

概要

それでは、

  • 共同通信社 記者ハンドブック辞書 第14版 for ATOK
  • NHK 漢字表記辞書2015 for ATOK

の使用例をご紹介いたします。

使い方は簡単です。インストール後、IMEをATOKにして文字を入力すると、下記の赤枠のように言葉の選び方を教えてくれます。


出典:共同通信社 記者ハンドブック辞書 第14版 for ATOK

どの漢字を選択すべきか、もしくは平仮名で表記すべきかが即座に分かります。

上記のように、変換候補の右に「《》」が表記されている文字は注意が必要です。

上記の場合ですと、

  • 《記:注》:「記者ハンドブック」では、注意や書き換えが必要という意味。「記」とあれば、記者ハンドブックという認識でいいと思います。
  • 《×:暗→くら》:「NHK 漢字表記辞書」では、右の表記へ書き換えが必要という意味。
  • 《記:注・×:喰らい→くら》:「記者ハンドブック」と「NHK 漢字表記辞書」の双方で、注意や書き換えが必要という意味。

このように、企業によって使い分けが異なります。

上記は、ほんの一例です。詳しいコメントの見方は、下記ページやインストール用のファイルに付属するマニュアル(PDF)などでご確認ください。

「わかる」の表記について

「わかる」と入力した場合、下記のように解説してくれます。

記者ハンドブックの場合


出典:共同通信社 記者ハンドブック辞書 第14版 for ATOK

「分かる」で統一されていますね。

※「共同通信社 記者ハンドブック電子辞書」のタブに表記されます。

NHK 漢字表記辞書2015の場合


出典:NHK 漢字表記辞書2015 for ATOK

こちらも同様ですが、以前は平仮名だったみたいですね。

※「同音語情報」のタブの【NHK】と記載されている欄に表記されています。このタブは別の辞書も表記されるからです。

 

これらのタブは「クリックする」か「Ctrl+End」で切り替え可能です。

くらい、ぐらい、位?

「くらい」と入力した場合、下記のように解説してくれます。

記者ハンドブックの場合


出典:共同通信社 記者ハンドブック辞書 第14版 for ATOK

例がいくつか紹介されていますね。

NHK 漢字表記辞書2015の場合


出典:NHK 漢字表記辞書2015 for ATOK

「くらい」「ぐらい」のどちらでもよいが、以前は厳格に使い分けていたと表記があります。とても参考になります。

「このくらい」と「これぐらい」
  • 「このくらい」:「この+くらい(位)」→「連体詞+名詞」
  • 「これぐらい」:「これ+ぐらい」→「代名詞+副助詞」

とのことです。

ソースは下記のYahoo!知恵袋なので、やや香ばしいですが私は納得できました。

>>「このくらい」と「これくらい」の違いは? - Yahoo!知恵袋

毎日新聞社版の電子書籍も購入済み

実はATOKより前に、毎日新聞社版の用字用語集も購入してます。

毎日新聞用語集はKindle版なので千円以下で購入できるし、Kindle Unlimitedなら無料で読めるのでおすすめです。

ただ、個人的には紙の本より検索に時間がかかる気がしますし、Kindle for PCは今のバージョンだと、検索したときたまに落ちる。あと残念ながらKindle Cloud Readerでの利用は不可です。

しかし「区切り符号などの使い方」や「誤りやすい表現・慣用語句」なども少し記載されていて、とても勉強になります。それに毎日新聞社の「毎日ことば」というサイトが好きでよく読んでいますので、それもあり満足度は高いです。ATOK版もあればなぁ。

立ち並ぶ、建ち並ぶ?

各社の違いも面白いです。

毎日新聞用語集の場合


出典:毎日新聞社. 毎日新聞用語集2020年版 (p.361). Kindle 版.

毎日新聞社版では、上記のように使い分けられています。

記者ハンドブックの場合


出典:共同通信社 記者ハンドブック辞書 第14版 for ATOK

記者ハンドブック版では統一されています。

ただし「たつ」の場合「家が立つ(存在している)」と「家が建つ(建築される)」で使い分け注意とされています。

NHK 漢字表記辞書2015の場合

表記なし

その他の書籍

他の書籍もご紹介します。私も購入するか検討中のものです。

NHK ことばのハンドブック 第2版

「NHK 漢字表記辞書2015 for ATOK」にも「NHK ことばのハンドブック」より引用されている部分があります。

発売日はやや古めです。

NHK間違いやすい日本語ハンドブック

時間のあるときに読みたいです。

読売新聞 用字用語の手引 第6版

【改訂新版】朝日新聞の用語の手引

他にも、公用文の用字用語集などいろいろありますので、検索してみてはいかがでしょうか。

備考

無料・有料の校正ツール

さまざまなツールが詳しく紹介されています。

NHK新用字用語辞典(旧)の関連記事

NHK新用字用語辞典(旧)に関するPDFファイルが公開されています。

US キーボードで日本語・英語入力の切り替え

※USキーボードを使用していない方はスキップしてください。

私はMacのUSキーボードを使用しており、日本語と英語入力切り替えは「command+スペース」で行っている変態なので、ATOKもその設定が必要でした。

US キーボードで日本語・英語入力の切り替えショートカットを設定する方法は、下記のサイトで紹介されています。

Just Right!7 Pro

Just Right!7 Proという有料エディター用の記者ハンドブックもあるようです。

エディターと記者ハンドブックの料金は別です。

かなり便利そうですが、どうなんでしょうか。ただ、どちらも値段が……。

感想

これらを使い始め、改めて自身が日本語を知らないことを実感しました。

見出しでは使用可能だが、本文では使用不可な漢字もあります。ややこしスンギ。

辞書を作成した方々は超人だと思います。謎の片仮名英語や邦題なども日々量産される日本語のルール作りは地獄だろうと感じました。

ド素人の私は、これらの辞書を利用しても間違いがあります。日本語は難しいです。まだ使い始めたばかりなので、気長に勉強しようと思います。

シェアしていただけると、両手をあげて外へ飛び出します。

コメントを残す

お気軽にコメントをどうぞ。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

ABOUTこの記事をかいた人

「やってみたこと」や「ライフハック」が中心のブログです。 少しでも多く役立つことができればうれしいです。 お気軽にコメントやフォローしていただけると、励みになります。 よろしくお願いします。